辻村深月の、眼差し。

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

「Aしなさい、そうしなければBになる。」という条件と罰、どっちか実行させる事のできる
命令が使える男の子が、
学校のウサギを殺して好きな女の子の心を壊した医大生に復讐をする。

その医大生に対して主人公が、復讐の条件を大学の教育学の先生と一緒に考えながら、
実際に実行していくまでの物語です。

辻村深月っぽさ」とでもいうのでしょうか。
1つファンタジー的な設定を組み立てて、
その世界に基づいた物語が繰り広げられる。

ただ、本質はそこではないような気がします。
復讐を通じて、「いのち」について考えさせる教育者としての優しい眼差し。
そしてミステリならではのどんでん返し。

冷たくて冷酷な現実にたいして、子供が何を考え、それを支える大人が何をできるのか。

辻村深月の本質は、冷たいくらい切なく、しかし確実に優しい、そんな教育者としての眼差し、
なのかもしれません。


p.s.辻村深月の新作が大学の図書館に入ったらしい。
卒業論文が書き上げられて、延滞している書籍が返せて、ペナルティの貸し出し禁止が解けたら
借りて読んでみようと思います。
あと、「冷たい校舎の時は止まる」「子供たちは夜と遊ぶ」も久々に読みたくなってきたな。

現実と幻想の結晶。

とりあえず、読了して興奮冷めやらないので、沈静のために取り急ぎ。

なんてこったい。
久々に書籍に魂を揺さぶられた。
アクシデントでしばらく読めなかっただけに、最初から読み直したのだが、
それで余計に、心を揺さぶられた。

ビターな現実世界と、スイートな空想世界が折り重なって迫ってきて。
何かうっすら暗い、そんな冬の日本海側の曇り空のような。


しかし、苦しいのは、下の本も読んでいたからかもしれない。

なんだかんだで、笑った、泣いた、本が面白かった、
新宿2丁目の喧騒、とかそういったふわふわした部分も好きだけど、
桜庭一樹の場合、集中モードが徹底していて、書籍を書くと
ふらふらになるまで集中している。
小説家が、魂を削って、小説を書いているのだ、と認識。

散見している米澤穂信パロディ企画のギャグに笑うだけでなく、
そんなことも、考えながら、読みふける。

可搬には向かない書籍

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

殺人の凶器になりそうな、一冊でコズミックジョーカー*1な作品。

久々に京極夏彦を読んでいたのです。
普段読むような「ジュヴナイル・ミステリ」的エンタテイメントとは打って変わって
重厚長大という言葉を字で行くような煉瓦本。

1300頁中900頁ほどの読みかけで下宿においてきたことに
今朝方、気づいたときのダメージたるや!

もし、続きが読みたいなら分冊版の4巻だけでいいのか?いいのか?

同じようなアクシデントに巻き込まれている、「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」みたいに、
最初から読み直す真似はできないぞ?(想像するだけで・・・)

と、いうわけで実家への帰省とともに、丸善へ行ってきたので本日の収穫。

*1:清涼院流水カーニヴァル」内、「コズミック・ジョーカー殺人事件」を参照。あれも分厚いけどがんばってw

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バーチャルに侵食されたリアル。

サマーウォーズ [Blu-ray]

サマーウォーズ [Blu-ray]

いまさらですが、サマーウォーズ見てきました。
いいんです、院試験に一段落がついたので遅めの夏休みですからw

映画自体は、泣いた、笑った、飯食った、という普段の問題をきれいに積み重ねて
「一族の絆」が強まるさまを、丹念にきれいな絵で描くことで
ヴァーチャルなでもリアルに直結する問題を解く環境を整える、という
すごく面白く、かついい話で大好きな感じです。やっと納得できる夏休み映画を見ました。

さて。映画をみながら思ったこと。

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森見登美彦の「複数平行」感覚

あるいは、風呂敷の四隅を隅と感じさせないには。

最近はご無沙汰です。dynamite-tiです。
書籍とかサブカルとかLifeにはまだまだお世話になるつもりなので、
更新ペースは不定期にはなりますが、このblogは細々と続くと思います。
と、いうわけでもうしばらくは書籍博徒のこの不眠のお供記録にお付き合いください。

さて、「宵山万華鏡」「恋文の技術」と森見登美彦氏の作品を連続で読みました。

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そのうち・・・

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090529-00000023-oric-ent
これについて記事を書きたいと思います。
化物語」というアニメの「らしからなさ」について、OP/EDから考えてみようかと。

とはいえ、うp主、ハルヒとかけいおんとかを適当に深夜にやっていたから
漫然と見ていただけの人間なので、考察の上でヒントが大いに不足しているので
王道たるジャンプ系のアニメとかもちょこっと見てみようかとは思っています。

アニメも、関西・名古屋では微妙な時間帯なので日曜のBS-Jで見ていることもあり、
まだまだ考える上で、データが足りなくて先は長そうです。

と、いうわけでしばしお待ちを。

正義感との戦い

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬探しを狙う探偵と、探偵志望の助手の物語。

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