森見登美彦の「複数平行」感覚

あるいは、風呂敷の四隅を隅と感じさせないには。

最近はご無沙汰です。dynamite-tiです。
書籍とかサブカルとかLifeにはまだまだお世話になるつもりなので、
更新ペースは不定期にはなりますが、このblogは細々と続くと思います。
と、いうわけでもうしばらくは書籍博徒のこの不眠のお供記録にお付き合いください。

さて、「宵山万華鏡」「恋文の技術」と森見登美彦氏の作品を連続で読みました。

宵山万華鏡

宵山万華鏡

恋文の技術

恋文の技術

読みおわった感想は、
四畳半神話大系」の進化系を見せてもらった、という感じでした。

この2作品は、大きなストーリーを視点を変えた複数の物語で語る、という作品です。
ある意味で、一人の人間のパラレルワールドを描いた「四畳半神話大系」の展開系、といいますか。

京都・優男*1・迷走・変態と、いったガジェットに目がいきがちだと思いますが、
同じ場面を複数、視点を変えて行ったり来たりする表現に着目してみると、
事細かに設定を(変態的に)つむいで、物語が暴走する方向に風呂敷が広がったか、と思えば
実は同じ世界を描いている事で立体的に物語が展開し、収束し、着地する。

この風呂敷のたたみ方!
夜は短し歩けよ乙女」の最後でもみせた、見事な着地を支えているのは
(文字通りの意味でも・・・・げふんげふん)
実はこの風呂敷のたたみ方のおかげだと思うのです。

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

そんなわけで、こんな「四畳半世界」の発展系の2作品、オススメです!!

*1:女性に弱い、文化系男子よりも「ルサンチマン」という表現のほうが似合う夕暮れに膝抱えてガガガSPとか聴いてそうな男子