備忘録from「ソラニン」

ソラニン」のネームが神過ぎる件について。
こりゃ、一度チャーリーにでも分析してもらったほうがいいかも、という大作だった気がします。
この本を世に出した、浅野いにおと編集者、マジ尊敬する。


といった、科白たちがかっこいいのでいくつかピックアップして感じたことを。

■「生き方」について。
-『華々しく理想的な金の未来へのきっかけか、平凡だが安定した銀の未来への決心か』
就職活動とか、人生の岐路にたち、その上で理想を描く人には苦しい選択肢です。
だれだって、「金の未来」を持っていて、悩みます。
でも、中学でいじめられたり、高校で勉強や才能の側面で伸び悩んだり
そういった挫折を通じて、「銀の未来」を志向するようになったりするのでしょうが。
でも、どうしても金の未来を夢見る人間には、つらい選択なのです。
…社会が多様化する今、平々凡々仕事なんざ無くて、*1銀の未来はあるのかは謎だけど。

-『わかっている、正しい答えなんて無いことは。ただ確実なのは川のように着々と時間は流れて、どのみちたどり着くのは海だけど。』
でも、流れに一度だけ逆らってみよう。次は無いけど。
と、続きます。
種田が会社を辞めてバンドを必死にやろうとする場面。
芽衣子に、「自分の大切なもの」を気づかされて、その結果
自分の現在の人生、とかを天秤にかけた結果。
自分の人生、自由に生きてみたいとは思うでしょう。
ただ、それに付きまとうリスクをどうするのか。
非常に心細くなる問いへの、ある意味勇気ある解答かと。


-『…守るものが変わったんだ。自分のプライドからもっと大切なものへ。』
かつて種田があこがれていたアーティストがつぶやいた、「大人」な発言。
音楽で自分のプライドを満たすことから、指輪で示唆される家族やお金に
大切なものが変わる。
「結局、金がリアルかよ」といわれるけど、それも否めないファクトの一つかと。
ただ、この「ほかの守るもの」と「自分のプライド」の間で葛藤して
そして悩んでいくのは、人生の節目っぽいと思いますよ。

-『俺は音楽で世界を変えようと本気で思っていた。』
でも、バンドがあって日常があればそれでいい。と、この話は続きます。
味わう挫折と、それを通じての社会化*2
守るべきものは「日常」なのかもしれない、という解答例。


■「表現」について。
-『褒められてもけなされても評価されて始めて結果が出る。』
 
よくあることだけど。
井の中の蛙ではなく、アクションを起こすこと。
デモテープを会社に送ってみたり、本気でバンドをやってみたり。
あと、ライブをして見たりすることもそう。

他人に評価されて、他人の心を動かして、其れで初めて表現が
「伝わり」そして「動かす」ものなのかも。

http://www.tbsradio.jp/life/cat189/
TBSラジオ「文化系トークラジオ Life」(2008年4月29日収録、「表現する人・したい人」
先日、こんなラジオを聴きました。
そこで出た、表現はコミュニケーションなのか問題にもつながるかと。

-『だからこの一瞬を、限られた人生を消費する日々から作り上げる日々へ』
花火を打ち上げながら、考えている種田の言葉。
その先には、バンドでのデビュー、そして世の中を変えることが
見えているのだろう。
芽衣子の視線からみる絵、しかしその直後、花火をやっちゃいけない浜辺で花火をしていたことで
警官から「逃げる」。
このシーンはある意味印象的でした。

-『一番近くにいる人にすら素直になれない俺が、何が音楽だ。』
表現、音楽について。種田が悟った瞬間の言葉。
何かを変えたい、という思いから音楽を演奏し、表現をしてきた種田。
でも、足元のことにも素直になっていないのに。。。と。
まあ、身近な人とのコミュニケーションが取れていないのに、表現できるのか、という
命題は非常に大きいかもかも。

■「恋愛」について。
1巻のp187〜190にかけて。
(量は多すぎて引用できないけど。)
種田が失踪し、そして何も手が付けられなくなった芽衣子が充電モードに入る場面で
さまざまなことを回想しながらのシーン。

人生の岐路で、恋愛をすると、自分の変化と相手の変化がするしないに関わらず
ねじれることで、意見が相違してくる。
ましてや心地いい関係性を保っていると。

それだけで心揺さぶられるのではないでしょうか。

*1:公務員も構造改革とか道州制とか制度改革に飲み込まれそうだし。

*2:くどいようだけど大人になることとイコールで。