チャーリー、降り立つ。

チャーリー式100Q/100A 「悩み方」を考える超・人生相談

チャーリー式100Q/100A 「悩み方」を考える超・人生相談

GWを使ってこの本を読んでいました。
(ツレに言わせれば相当没頭していたそうです。)

まず、ファーストインプレッションを。
「現代の事象を読み解く」チャーリーが、
現代の悩みに、「これが答えだ」ではなく、「答えの方向性」回答への補助線を引いている作品、かと。

なんというか、またもや見つけた「14歳の自分が読んでいたら、世の中もっとマシにサバイブできていた」系の書籍です。



さて、具体的な内容を。

  • 書籍のコンセプトと、語り口。

この作品では、チャーリーこと鈴木謙介さんが、社会学鈴木謙介として、ではなく
TBSラジオの「文化系トークラジオ Life*1」に出ているときの「チャーリー」として話をしています。
チャーリーと荻上チキ氏が、対談で本を作っていることもあり、
目指しているコンセプトが、他のチャーリーの本よりも非常にフランクです。

「できるだけ、これまで僕の本を読んでこなかった世代や属性の人のところまでこの本を届けたい」

と「前書き」でチャーリー自身がいっています。
その、やさしさととっつきやすさがあふれている語り口に、ついつい惹かれてしまう
読者は多いはずです。


  • 内容

鈴木謙介」という人間を丸裸にする内容が含まれていたりします。
恋愛・人生、そして社会問題をキーワードにした上で最後にチャーリー自身について、
「チャーリー編」という内容*2が合ったり。
チャーリー曰く「金太郎飴のように黒歴史」なチャーリーの過去にも触れられていたりも。
非モテにからまれた」の項目とか、チャーリーの過去に触れる部分もあり。
(それゆえに2chでチャーリーが叩かれたり、amazonの書評*3でそのことだけを取り上げられて
酷評されてたりするんだろうけど・・・・)
ただ、そこまで自らを晒している人だから、自分と同じ経験をしてきた
信頼できる「お兄さん」*4としてチャーリーを見られる書籍だと思いますよ。


秀逸なのは、中でも「友達の自殺」についての項目。

これはプライヴェートな話ですが、
大学で、人生相談から天下国家についてまで、常に教え諭してくれた先輩がいましたが、
その先輩と対話している気持ちになりました。




  • 脚注

気鋭のネット評論家、荻上チキ氏の脚注。サブカルについて幅広く触れられているこの書籍を
読む上で、脚注なしには読めないし、社会現象やそれこそ「ギデンズ」や「宮台真司」といった
社会学の大家から、「m9(^Д^)プギャー 」という2chの煽り文句まで深く触れられている
脚注は、それだけで読んでいても面白いのです。

  • まとめみたいなもの。

つーか、この本が14歳のときに読めてたら、人生変わってたはずだとまた思ってしまった。
(何冊かそういう本があって、近いうちにAmazonでそういうリストを作ろうと思う。)
正直、「カーニヴァル化する社会」が訴求するターゲット層へも、
この本が訴求するターゲット層にも、届く本の作れるチャーリーのすごさと、
実際にそうやって書籍を作ってしまった編集者のすごさに脱帽というか、やられた感を感じたというか。

ゼロ年代の次に来る、10年代には10年代の評論や若者の悩みがあって然るべきだけど、
あと数年はこの書籍に癒される人もいっぱいいるはずだし、もっと手に取りやすい形で
世の中にこの書籍は訴えかけられないものか、そこが最近の関心事です。
*5


いやあ、面白かった。GW使って読みふけれましたよ。

*1:チャーリーと若手の言論をリードする物書きさんとかが、社会のキーワードについて語りまくる番組 http://www.tbsradio.jp/life/index.html 

*2:ちなみに、この書籍の「れんあい編」「じんせい編」とかそういった表題の付け方は、西尾維新

←これっぽい。表紙とか書籍全体もなんとなく戯言シリーズみたいなテイストぽいし。

*3:一番下の、「ためになる、ならない以前の問題がある, 2009/1/18」ってやつです。

*4:伊集院光が、ラジオ番組のPodcastで「最近は、相談に乗ってくれるお兄さんが少なくなった。俺はそうなる気はないけどw」って言ってた。

*5:要は、2012年に文庫化されているのかどうかが気にかかるわけです。