「ぜつぼう」の描き方
- 作者: 本谷有希子,鶴巻和哉
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/02/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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やはり、学生の身分では金銭的理由により文庫以外はなかなか読めないので。。。
(書籍代が家計を圧迫しております。)
とりあえず、一行で説明。
復讐という名の半監禁と、知って知らない振りをする兄妹の気持ち悪い世界の物語。
うん。なんとか1行ですね。
本谷さんって、なんか気持ち悪い世界を描かせるとぴか一なんじゃないのかな、と
3冊ぐらい読んでみての実感がわいてきました。
それは、主な登場人物、とりわけ主人公が望み無しな世界を生きている事、
「ぜつぼう」した世界に生きているからでしょう。
さて、本谷さんが「えぐい」世界を描くのにぴか一、と言ったわけです。
佐藤友哉の鏡家サーガ、とくに「水没ピアノ」なんかも、
世界から切り離されてる青年の話だから、「ぜつぼう」した望み無しなはずです。
ただ、佐藤作品の場合は、文体芸というか、なんというか、そこからは「絶望感」というよりも
「世界から切り離された孤立感」の方がにじみ出ていて、
そしてその世界への外部侵入者によって、鏡家サーガの絶望してる人物の世界は、崩壊します。
(文庫で追っかけてるので、「子供たち怒る怒る怒る」のあたりの結果は、もうちょいお待ちください。今週購入したので。)
しかし、本谷有希子は容赦ねえ。
容赦なくえぐい世界をえぐぐ書ききって見せる。
具体的な内容は差し支えるから書かないけど、
読んでいるこちらが気持ち悪くなるような世界、
それこそ作中の登場人物に言わせると「ぶっこわしてやりたい」世界、
(と、いうより「セカイ」かもね。)の物語を描く。
脇役がそんな世界を破壊したがって、行動を起こしているのに、
佐藤友哉の鏡家シリーズと異なり、この作品ではその世界は崩壊しないどころか、
さらに強固になる欝になるようなエンドを迎えやがった。
帯にある「気持ち悪い世界を、ぶっこわしてやる」っていう気持ち、そりゃ読者も持ちますよ。
そしてさらに、劇をやっていた人だからなのか?、
登場人物がいちいちエモーショナルだったりするもんだから、増幅されるわけですよ、その気持ち悪さが。
まったくもう。