疎外された世界の3重奏
- 作者: 佐藤友哉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/15
- メディア: 文庫
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ユヤタンの
壊れている幼馴染への庇護欲を持つ少年
ぶっ壊れた人殺しと殺される宿命を受け入れるその家族
携帯電話の電池パックを詰める、「砂粒のような個人」な労働者
3つの物語がカットバックしながら進行し、
そしてピアノは水底に沈む。
なぜか、ネット世界のユヤ好きには、この作品の評価は比較的高いようですね。
現在、学生としての身分のほうでいろいろと駆けずり回っていて、疲れていることもあり、
この3つの物語の、「家族」の話と「少年」の話がけっこう読むのがヘヴィでした。
まあ、重さとぬるぬると世界がカットバックして絡まるのがユヤの作品の良さなんだろうけど。
若干、「ムーンパレス」を底にしいてるんぢゃないか?と思うようなところもあったけど。
さりげなく、部屋に閉じこもる労働者が窓を開けたときに、
「ムーンパレスという看板は無い」という風にされちゃう冗句は好きですけどね。
(ムーンパレスについては、こちらをご参照あれ)
http://d.hatena.ne.jp/dynamite-ti/20080420/1208685471
とりあえず、疲れた頭にそこそこの疲労感を残してくれる作品でした。
フリッカー式のような爽快な作品のエンタメ(notラノベ!)もかける人だけに・・。
(え?それは西尾維新に任せてるって?)
そういうところは純文スキーと、ラノベスキーやミステリ・エンタメスキーで評価が分かれるんでしょうけどね。。。
「フリッカー式」とか、「土と煙と食い物」とか、佐藤友哉も舞城王太郎も。
うーん、「ファウスト」のユヤタンの「色シリーズ」が青春直撃だった世代としては、
比較的後者に近いスタンスを取りたいものですけど。
がんばって純文も古典だけでなく、しっかり読むようにして行こう。。
ちなみに、鏡家シリーズの作品の副題はその作品を表している感が結構好きです。