不自然なちらつき

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (講談社文庫)

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (講談社文庫)

とりあえず一言で言うと、
家族の血縁にうるさいクレージーボーイの暴力的やんちゃ物語です。

ユヤタン読みました。
さすがに読まずに何かえらそうなことを言うわけにもいかないので。

さて、たまには分析コーナーも作りましょうか。引用ではないけど囲んどきます。

さて、しばしこの「フリッカー」について分析してみましょうか。
フリッカーというのは、走査線や交流周波数の影響による
ディスプレや蛍光灯等のちらつきのことを言うらしいです。

なので、なぜ「フリッカー」なのを考えてみよう。

文中での「フリッカー」は、きらきらとしたさわやかな太陽とか若葉とかを
示すために使われています。

うん。たしかにそれは「フリッカー」だ。
眩いまでの非現実的状況。

さて、しかしほかにもこの小説には「フリッカー」があるような気がします。

フリッカーの「ちらつき」が、小説全体の構造の中で
突き刺しジャックの物語がカットバック的に入ってくることを
暗示しているような気がしてしょうがないです。

と、いうわけで。フリッカーが2重底になってるように読めるのは、面白いかと。

さくさく読めていい感じの、しかし読後感の悪さはない作品。
中学生のころの、「クビシメロマンチスト」を最初に読んだときに感じた読後感のもたれがないのが残念。

あー、京極夏彦好きなんだなー、とか、
あー、サリンジャーっぽい感じってこんなんなんだろーなー、とか。

さすがに京極読んだ後だったし、憑き物の話はややその物語全体に通底しないあたりに、笑ってはしまったけど。

ただ、全般的にはファウスト系による「純粋なエンタメ」としては
楽しめると思いますよ、フリッカー。案外好評価です。
若々しさゆえの「あー、これがやりたかったのね」はわかりますしね。

さて、こんどはサリンジャーでもよもうかな。。