fragile adolescence
- 作者: 南条あや
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/02/28
- メディア: 文庫
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http://d.hatena.ne.jp/dynamite-ti/20080409/1207751173
前に紹介した、これでは、「自殺少女」の分析で出てきたのだが。
今回は、coccoをキーワードとして読後感を語ろうかと。
わたしもcoccoは好きだし、それゆえに感情的で分析になるかどうかはしりませんが。
ネットを見ると、こういう共感があるみたいだし。
http://d.hatena.ne.jp/blackthrush/20080222
こっこって、今のようにリストカットが社会問題化する過程で、椎名林檎とともに時代のアイコンとして捕らえる向きもあったアーティストだとは思うけど
http://d.hatena.ne.jp/K-N/20050818
ということも書かれている。
まあ、たしか「Raining」あたりでそれっぽい表現が歌詞の中にでてくるし、
ある意味でそういったイコンとしてcoccoが十分働くことは、
ある意味「お約束」的な前提として読後感を語ることにする。
この本、読みはじめがめちゃくちゃしんどかった。
リアルに気持ち悪くなりそうな感じでもあったし。
お薬でなんとか生き延びてる、メンヘラ少女。
その姿は、痛々しい「生きること」を切々と歌にこめたcoccoにも似て。
最初にcoccoの「カウントダウン」を聞いたときの、胃の辺りが気持ち悪かった感情が
よみがえってきた感じです。
っていうか、影響を受けることを望み、(それが読者の希望する像ととらえ?)
鬱々とした毎日をリストカットとお薬で暮らす。
南条がそうせざるを得なかった理由を考えることが
どれだけ意味のあることかは、わからないけど。
ただ、そういった記号(自傷女子高生、メンヘラ、とかね。)を身にまとうことで、
自分の社会への存在意義をネットに問う。
記号をまとうことが存在意義になる事。
まあ、そういったところが非常に興味深い。
ある意味、そういう風に読めなくも無くて。
巻末の香山リカの解説が秀逸です。
「読者に求められている、みんなに求められている」という喜びを感じると同時に、
「やっぱり誰も私を救ってくれないんだ」という絶望も深くなっていく
(解説 p316)
*1
読者にたいして語りかけることの2面性、支えになることと、救いにならないことを
香山はここで切々と分析を加えています。
共感を得た人が、「どうせ自分のことをわかってくれない」という自己否定を
加えてしまっている、「自分甘やかしヘタ」であると香山はここで述べています。*2
そういった人に対する救いの手段、認めてくれる人を探す努力をしてほしいと
いう香山の訴えかけが、わりと興味深かったり。
ある意味でいろいろと反省します。どーしても「いきづらい」人と仲良くなることが多いのですが、そいったときには、たとえば、違いの強調より類似点の強調を通じて「わかる」努力をアピールするとか。。。。
*1:南条あや「卒業式まで死にません(新潮文庫・2004)p316
*2:解説p317