データベース系男子の生きる道
もしくは、伏線が綺麗に全て収束するミステリィ。
風の吹くまま、気の向くまま、何を読むかは…
さて、最近は、雑食系兼データベース系男子なdynamite-tiです。
最近自分が草食系とは必ずしも言い切れない、と友人にいわれたので。
ぢゃあ、雑食系か?と。思いまして。
なにせ、源氏物語から政治経済まで好きですから。
ラジオで育ったせいか、音楽も抵抗無く9mmや10-feetからled zeppelinやらまで聞きますから。
書籍も、フィクション・ノンフィクションそれぞれいろいろ好きですし。
さて、そんな書籍博徒の不眠症のお供、今回は、米澤穂信の「古典部」です。
眠れないので、書籍に手を出す→面白くて眠れない、という感じに陥りました。
- 作者: 米澤穂信,上杉久代,清水厚
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2001/10/28
- メディア: 文庫
- 購入: 17人 クリック: 956回
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この4作品。通称、「古典部シリーズ」。
個別作品ごとにも面白いんだけど、伏線の回収がさまざまなところでなされているのも見もの。
「クドリャフカ〜」のために「氷菓」「愚者のエンドロール」の2作品がすごい活きていたりする。
ミステリ的な楽しみ方として、なんども「やられた、この伏線はここのためか・・・」という気持ちになること請け合い。
それだけでなく。
キャラクタも相当魅力的だったりするのです。
- 「省エネ」といって、人との関係をあまり作らない、面倒くさがりやの探偵。
- 「データベースは、結論を出さない」知識を蓄え、風流に愉しむデータベース系男子。
- 勝気で一途な元気系少女。(一途だけど、袖にされてもなおなところが、すごくいい!)
- 暴走する天然セレブリティーお嬢様。
うん。こんな感じの魅力的な男女が、高校の文化部としてゆるゆるとした時間をすごす、ってだけで、
文化系出身のボンクラ男子としてはくらくらしてしまいます。
かくいう私も、高校の日々、地学教室、という謎の部屋でずっと駄弁っていた文化系ライフを思い出すのです。
文化系の過去を持ち、現在は(も?)知識を無意識で蓄えるデータベース系男子として、
それなりにデータベースにのっとって風流(と、勘違いしていることを)愉しむ中で、
データベース系男子に共感するな、って方が無理な話なんです。
そんなデータベース系男子の福部君、ふくちゃんがいい感じなのです。
「データベースは、結論が出せない」という台詞、なんというか狙っているのか。
もう、その魅力だけで「氷菓」がじゃっかんこなれていないデビュー作であることとか、
(米澤作品を10冊ほど読んで、毎回感じるのはシリーズ最初の1冊は若干何かが引っかかって読みにくいのです。)
吹っ飛んでしまうほどの。(それ考えると、愉しみたいならあえて「愚者の〜」から読むのも戦略です。)
そして、やはり、「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」あたりになっちゃうと、わくわくしちゃうんだ。
「遠回りする雛」にいたっては、短編集という名のデザートに思えてしまうほど。
世界観や伏線を崩壊させずに、これだけ長編の時系列の隙間に短編をねじ込めるのもすごい気がするんだけどね。
と、いうか素で「walking encyclopedia」とか言われちゃうような、趣味が高じて
知識とか雑学とか集めちゃうような、データベース系の男子は、読まなきゃいけないと思うんだ!
いずれにせよ、まだ、「古典部」の面子はこの4作では1年生なんだ。
2年生という高校最大の文化系モラトリアムの時期とか、
3年生という受験という超一大イベントのお話とか、
長編ではまとめにくいと思うけど、その後の人間関係の顛末も含め、新たな短編が
出る余地は有りそうな気がするし。
そんなこんなで、「古典部」、お勧めです!