徹底的な狂気

坂口安吾を読みました。

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

なんか、エッセィっぽいのもあり、そうかと思えば恐ろしい小説もあり。
あるいみ玉石混合というかアラカルト的っちゃそうでしたが、そんな安吾の短編集です。

桜の森の満開の下」と、「夜長姫と耳男」の2作品は、読んでいて怖さを感じるぐらいの
設定の妙というか、面白さというか、を感じました。

桜の森の満開の下」の落ちは、完全にホラーだとおもいます。
女に言われて、男が都で首をいっぱい取ってくることよりも、
桜の森に戻った時に、男が女が老婆になっていたことに気付く方が怖いです。

「夜長姫と耳男」は、夜長姫の狂気、というものがすごいと思います。
耳男の徹底した恨みと、それを超えるだけの夜長姫の感情と。

ざっと読みとおしてみて思ったことは、
坂口安吾は、狂気をかかせると面白いのかもしれません、というのが感想です。

夜長姫、桜の森の満開の下の女、そして「二流の人」の黒田如水もある意味そうです。
あとは「家康」にしてもある意味でそれが言えますし。

狂気を描くなら徹底して描く、それは堕落論に見られる、
落ちるなら徹底した堕ちまくる、ことに近しい気もしますしね。

もっといろいろと読んでみて、感想に変わりがなければそういうことになると思います。