甘すぎない甘さ
- 作者: 大崎善生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/09/22
- メディア: 文庫
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この甘すぎないがほのかに甘い恋愛がいいのです。
一言で言えば、、大崎さん特有のほのかに甘い雰囲気を持った恋愛掌編。
恋愛が、ちょっとばかし残酷な出会いと別れを繰り返しながら、美しく繰り返される。
恋に落ちた表現と経緯が綺麗だったり、
別れの後に、気づく喪失感とその喪失感の喪失への悲しさが出ていたり。
「ディスカスの記憶」はとりわけお勧めです。若干ミステリチックだし、この
恋に落ちた表現が見ものなのです。
そして、全体の雰囲気は「別れ」が主題なので残酷で切ない状況を時折描くものの、
やさしい時間軸に包まれている。
この緩やかさは、「9月の4分の1」や「パイロット・フィッシュ」に近い感じ。
さらに、大崎作品に時折ありがちな結構過激な●●描写もそれなりに抑えられていて、
効果的な程度の使用になっているのもうれしいところ。
掲載元の雑誌に禁止条項みたいな基準でもあるのでしょうか?
ただ、それが結構いい感じに転がった気はします。
さて、この本の相対的な評価をば。
(関連エントリ)
・9月の4分の1(「9月の4分の1」)
http://d.hatena.ne.jp/dynamite-ti/20061023/1207493694
・To be a rock and not a roll…(「ロックンロール」)
http://d.hatena.ne.jp/dynamite-ti/20070908/1217731500
・編集者生活
・ディスカス
と、いった大崎さんのいつものガジェットが出てくるけど、
なんか切り口が違うというか、なんと言うか。
led zeppelinがでてこないから、かな?
●●描写と同じで、過剰な使用は差し支える、といいますか。。
もし私が編集者なら、zep好きだし"The rain song"と"D' yer M' ker"をぶつけたいものですけどね。(後者は、結構異色な作品ができると思う。)
ただ、過剰なzepガジェットではなく、スパイスを効かせるのと、全体の底に敷く程度が
いいのかもしれません。ガジェットの使用としては。
「ディスカスの記憶」の「ディスカス・ショック」みたいな感じで。