緻密な編み目計算のされた編み物。

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

さて、連投ですけど。
気になってた辻村さんの文庫新作を読めました。

連続見立て殺人と呼び合う2人の天才、iとθ。
脆く儚いこの呼び合いの引き起こす先は・・・・。

って感じの大学生のさわやかな青春群像劇。
まあ、バックグラウンドは、これでもか、これでもかと言うばかりに
一人ひとりの登場人物の背景が作りこまれていて、
その決め細やかなお仕事に感動したくなりますよ、まったく。


いや、肯定的ですよ。辻村さんの作品の青春群像は大好きだし。
2人も賢い学生が出てきて、そしてその恋愛模様が描かれていて。

ぞくぞくするような見立てが話全体のデザインをきれいにしていて。
辻村さんの作品は、そのキャラクタ設定も魅力的ながら、
文章のなかにたいする伏線の入れ方もけっこう好みです。

なんというか、計算づくで作られた、きれいな模様の
編み物を見ているような。


森博嗣のS&Mシリーズを小学生のときに読破した当blogの主、
そして西尾維新クビシメロマンチストが青春直撃だったこともあり、
賢い大学生の出てくる物語が大好きなので、それだけで読みだったのですが、
あの見立てにはやられました。。


辻村深月、、、、恐ろしい子(笑)。

明日、京都の中心部へ行くのですが、辻村さんのノベルズに手を出そうか考え中。。。


(2008年7月8日)
時間が出来たので追記。ただしネタばれなので反転させています。

さて、ここまでで回収できていなかった「寄生」メタファーの話です。
この作品が緻密な計算で出来ている「編み物」という話をしましたが、
みなさん、チョウの話を漫然と読まないでくださいね。
作品の中で、非常に大きな役割を果たしていますから。