別の「お約束」の、ある意味エンターテイメント

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

先月のダ・ヴィンチで特集組まれていて、結構興味があったので。

なぜ、この人が舞城王太郎や、佐藤友哉と同じような土俵で時に語られることもあるのか。

まあ、登場がゼロ年代だからなんだろうけど。


ただ、「あーなるほどね」と思うところはあるわけです。
文体芸、とでもいうのでしょうかね?

この作品の中で、「あー、このみちはいつかきたみち」と思ってしまう
文章表現があったりして。

さて、この本の取り巻かれる世界の話はこれくらいにして。

まあ、具体的な中身について考えて見ましょう。

タイトルにある、「お約束」とは。
そして、「エンタメ」とは。

この2点にポイントを絞って。


最近、大学生としては稀に見るトラブル続きでして、
ずいぶんと凹んでいるわけではありますが、
そういうときに、こういった本や、こういった本を気分転換に手に取ったところで、
自分の描いてるヴィジョンとかが心からぐらつくことがあるので、
(お前は中二病か?という突込みが聞こえますけど。)
気分転換にはなるけど、その後落ち込むまるでアルコールのような
読書をしているわけですよ。

そうなると、そんなことを考えなくてもいい読書、をしたいのだけど、
「純粋なエンタテイメントに特化した小説」は、「お約束」が多いので、そういったお約束に慣れない私には、どうも私には敷居が(逆に)高い。

乙一とか、普通に昔大好きだったんですけどね。
(あ、乙一はそういった「お約束」レーベルではないところでリパッケージされているなあ。。)

そういった意味では、演劇という「お約束」はあれど、
そこまで「お約束」がわからなくともある程度は楽しめるし、
しかし異様なまでの読みやすさを誇る(DTPの賜物でしょう。)
この姉妹バトルはわりと見ものだと思います。

これが、「お約束」が違う「エンタメ」小説、と
この本を私が証する意味だったりして。

描写が濃密なわりに文章はさくさくして読みやすかったり、
時にコメディー展開だったりするところがわりと読みやすさの
元になってたりして、面白かったかもかも。