映像化推奨カタルシス

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

さきほど、読み終わりました。

まず、直感的な感想から。
前作すっとばして、京極堂シリーズは、この作品を次に映像化するべきではなかろうか?


なんか、京極堂シリーズを読む魅力の一部として考えられるのは、ある意味
「憑き物落とし」のカタルシスが、ミステリの「謎解き」の衝撃に似ているから、
だと思われます。

この「憑き物落とし」の構造をうまくミステリに組み込んでいるのがこの
京極堂シリーズだ、という分析をここのところ楽しんで読みながら私はしている訳だが、
この鉄鼠は、その「憑き物落とし」の爽快感が中腹でも味わえる一品です。

掲示板によると、「佐藤友哉が好きな作品」として京極堂シリーズからは
鉄鼠がピックアップされていた、という情報をどこかから入手しましたが、
この爽快感は何とも言えない。ユヤタンがそれでセレクトした、と言う訳では
無いとは思われる物の、ね。

禅寺だから悟るのか、坊主、憑き物落ちまくり(笑)。
拝み屋に祓われずとも、自発的に悟る。

それが非常に面白かった。
まあ、おかげで「悟り」の定義が自分の中で再定義されてしまったが。

前作がややグロい感じだったのに対して、今回は比較的奇麗だし。
それは、脳髄と箱庭、どっちが奇麗と言えば、ねえ。

この下はネタバレコーナー。
反転させないように注意注意。
この作品に通呈する箱庭構造が、「見立て」と、
作品のキーワードである「檻」とマッチしてすごい面白いです。

あと、蘊蓄という名の伏線の回収が非常に面白かったです。
箱庭箱庭。そういえば、箱根って箱庭に似てるよね(笑)。


文庫版が出たのが2001年9月、と、言うのが個人的にはちょい惜しいかな、と思ったところ。
まあ,その翌年にはノベルズで密室本プロジェクトがあっただけに。

檻、だしね。そもそも、書籍自体が密室、という密室本プロジェクトに
軌を一にするかのごとく出版タイミングが。
(まあ、その時期かは不明だが、ジュヴナイルすら密室本みたいなのをやっていた最高の時代だったわけだが。。。)

もとより、1冊でコズミック・ジョーカー(笑)、製本技術の最大極致、足に落としたら骨が折れる、という評判高い煉瓦の様な分厚い京極堂シリーズに、密室本のみぢかさは期待は出来ないけど。。。(と、いうか無理だろうね。蘊蓄語れないし。)

まあ、そんなわけで。
京極堂シリーズで次に映画化するならこれでしょう。
(狂骨は、さすがにしづらいとおもわれる。。。。してもR18とか