実は理不尽なことは大嫌いです。
- 作者: 木村元彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/06/20
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 99回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
この本は、現地に行ってしまった結果、サッカーライターをとおりこし
政治ジャーナリストになってしまった人のモノガタリ。
ユーゴのコソヴォ空爆前後の有様がなかなかひどかった。
なんというか、理不尽なまでに不均衡な。
ルーダフィンのやったこと*1は、悪いことだったとは思わない。
ただ、その影響というか後始末というか、世界に与えたイメージは
取り返しが付かないのがなんとももどかしい。
一度付いてしまったレッテルは、50年とかたってもはがれないから。
WW2の時代、このユーゴでは、ナチ傀儡のクロアチア(ウスタシャ政権)と、
民族主義のセルビア(チェトニック)が殺し合いをして、その恨みが1990年代にまた出てきているし。
だから、私は、やっぱり大学で論文、このネタで書くんだろうな・・・・。
ピクシーの掲げた「NATO STOP STRIKE」は、
今でも鮮烈なイメージとして私の中に残ってるし。
コソヴォで有った事が、自分の中での問題意識になってることを
強く再確認した物語でした。
*1:ルーダフィン、という広告会社は、コソヴォの前にあった1992年のボスニア独立に絡んで、セルビアの対抗勢力だったムスリム系住民勢力を支えるため、「民族浄化」という言葉を作り出し、両方が相互に殺しあう状況下で、セルビア人が一方的に虐殺行為を行うナチにも勝る悪人だ、という宣伝活動をした。その影響で、クロアチア内戦やコソヴォのアルバニア系のテロ行為に対し、PKO(UNPROFOR)とか展開してたにもかかわらず、大量にセルビア人が死んでるにもかかわらず、世界は黙殺した。参照、 ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)